どう響くか
キーがCなら FM7 → E7 → Am7 → C7。すべてのコードに4つめの音(7th)が乗っているのが、おしゃれに聴こえる一番の理由です。三和音が「明るい・暗い」だけを伝えるのに対して、7thが乗ると、そこにもう一段の陰影が加わります。
もう一つの仕掛けが2つめのⅢ7(E7)です。キーがCなら本来ここはEm7ですが、真ん中の音を半音上げてE7に変えてあります。
この一音だけキー外の音(G♯)が混じることで、次のAm7へ強く引き寄せられる緊張が生まれます(セカンダリードミナントと呼ばれるやり方です)。最後のⅠ7(C7)も同じ仕掛けで、先頭のFM7へ戻る力を作っています。だから途切れず何周でも回ります。
どこで使われるか
Grover Washington Jr.「Just the Two of Us」と、同じ進行を使った椎名林檎「丸ノ内サディスティック」から名前が付きました。
日本では「丸サ進行」の呼び方が定着しています。近年ではYOASOBI「夜に駆ける」やyama「春を告げる」でも使われており、時代を超えて使われ続けている進行です。
シティポップ、R&B、ネオソウル、ボカロ曲で広く使われ、都会的で少し大人びた質感を出したいときの定番です。ギターで弾く場合、6弦ルートのままだと重くなりやすいので、4〜5弦を起点にした押さえ方のほうがこの進行らしく響きます。
派生形
この進行は最後の Ⅰ7 に仕掛けが集中しているので、そこを膨らませる形の派生が多く使われます。
最後のⅠ7をツーファイブに分ける
Ⅰ7 は次の ⅣM7 へ戻るための助走でした。その手前に Ⅴm7 を挟むと、ⅣM7 を仮の着地点と見たツーファイブワンが完成します。キーがCなら Gm7 → C7 → FM7 です。
Gm7 の構成音(G・B♭・D・F)に含まれる B♭ は、続く C7 の7thと同じ音です。この共通音があるため、2つのコードがばらばらではなく一続きの流れとして聴こえます。ジャズでは「関連ツーファイブ」と呼ばれ、ドミナントを飾る最も基本的なやり方です。
5度下降をさらに伸ばす
Ⅵm7 の後ろに Ⅱ7 を足すと、ルートが A → D → G → C と4度ずつ上がって(=5度ずつ下がって)いきます。この動きはコード進行の中で最も強い引力を持つもので、それが4つ連なることで「まだ先へ進める」という推進力が生まれます。
もとの4つが6つに増えるぶん1周が長くなるので、ゆったりしたテンポの曲や、同じ進行を何度も回す曲に向いています。