どう響くか

8つのコードでひとまとまりになる、少し長めの進行です。この進行が滑らかに聴こえる理由は、隣り合うコードが必ず音を共有していることにあります。キーがCなら C・G・Am・Em・F・C・F・G。

CとGはGを、GとAmは共有音こそ無いものの半音・全音の順次進行でつながり、AmとEmはEを、EmとFはやはり順次進行で、と、どこにも大きな段差がありません。8つも並んでいるのに一本の線として流れていくのはこのためです。

前半4つ(Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm)で少しずつ翳り、後半(Ⅳ-Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ)で持ち上げて次の頭へ戻す、という起伏を持っているのも特徴です。なお、この進行の代名詞になっている「ベースが一段ずつ降りていく」形は、下の派生形で紹介する分数コード版のものです。

どこで使われるか

名前のとおり、パッヘルベルの「カノン」で使われている進行です。長さがあるぶん、ワンコーラスをこれだけで通しても間が持ちます。J-POPのサビ、卒業ソングやバラードで定番といえる形で、切なさと前向きさが同居した響きになります。

あいみょん「マリーゴールド」はイントロ・間奏でほぼそのままの形を、Aメロとサビでは4番目のⅢmをⅤに替えたアレンジ形を使っています。

Ado「向日葵」やYOASOBI「もう少しだけ」も同様にⅢmをⅤに替えた形を使っており、近年のヒット曲でも形を変えながら使われ続けています。8コードが長いと感じるときは前半4つ(Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm)だけを繰り返す形もよく使われます。

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派生形

ベースの下降をさらにはっきりさせる

「どう響くか」で説明したベースの下降は、実はコードを差し替えなくても、分数コード(スラッシュコード)にするだけでもっとはっきり聴かせられます。

2番目・4番目・6番目のⅤ・Ⅲm・Ⅰを「Ⅴ/7」「Ⅲm/5」「Ⅰ/3」のように、コード自体は変えずベース音だけ動かす形にすると、最低音が C → B → A → G → F → E → F → G と、本当に一段ずつ滑らかに降りていくのが分かります。

音として鳴るコード自体は元の進行と同じですが、ベースの動きがより滑らかになります。なお原曲のパッヘルベルのカノンの通奏低音は D-A-B-F♯-G-D-G-A と、すべてルート位置で跳躍する形です。この順次下降させる形は原曲そのものではなく、現代のポップスで定着したアレンジのほうにあたります。